かねてより酒の熟成、すなわち時が醸す味わいに魅かれるものがありました。
人が醸した酒、そこに時の刻みによる厚みが加わり深みが増し琥珀色になっていく。
人生において時と共に人も深みが増していくように。
「生まれ年のお酒」「結婚した年のお酒」「子供が生まれた年のお酒」…
酒を手にとる方にとって、そのビンテージの酒は特別なものとなる。
造り手としても「新しい酒に取組んだ時のお酒」「あの変化があった年のお酒」「蔵を改良した時のお酒」…
などと想いを馳せ、造り手人生の足跡のようなものになるだろう。
ワインやウイスキーでは当たり前のビンテージ概念が日本酒にはまだまだ浸透していない。
お酒は元来嗜好品、色んな楽しみがあっていい。
その中に「時」を楽しむという事を加えたい。
しかし「時」は買えない、ならば急げ!
そこで2010年より琥刻を造り、熟成に取組み始めました。
20年後、30年後に「時」を感じながら飲む姿を思い描いて。
さて、「時」のふるいにかけた時、それに耐えうる製法は何か。
かねてより挑戦したいと思いながら、なかなか取組めずにいた山廃仕込みを選びました。
山廃は、天然の乳酸菌の働きを利用した古式製法で、コクと深みのある味わいになるのが特徴です。
2013年からは酵母も蔵付天然酵母にして、より自然体で。
七本鎗の山廃造りと共に始まった「琥刻」。
この瞬間もこの湖国の地で時を刻んでいます。
透明感と力強さを持つミネラル感を思わせるアロマを主軸に、わずかなキャラメルやナッツ様のニュアンスが、バランスの良い特徴を与えています。きめが細かくなめらかな口当たりで、優しくもしっかりと染み渡る旨味は輪郭が整っており、長く複雑な余韻となっています。(2022年8月コメント)
スパイシーなシリアルと、ほんのりカスタードクリームのニュアンスを持つ繊細な香り。スムースなテクスチャーで、ほのかな甘みを見せながらも、優しい旨味が展開し、フレッシュな酸味と共に軽やかな辛口へと続いていきます。複雑なミルクキャラメルのような風味も穏やかに感じられる余韻。棒棒鶏のゴマだれサラダのような香ばしさのあるライトな料理との相性が良いです。塩味のシューやタルト系のイーストの風味のある料理との相性も良いです。(2020年7月コメント)
スパイシーで、ややスモーキー、クレームブリュレのニュアンスを持ったやや強めの香り。丸みのある口当たりで、旨味が豊富、甘みを思わせるキャラメルのニュアンスが口中に広がりますが、程よい酸味と共に辛口に切れていく味わい。風味は長く、心地よい苦味と旨味のバランスの良さを余韻に楽しめます。同じように広がりのある美味しさを持つ味噌と相性が良い味わいのスタイルです。鯵のなめろうや少し温めてブリの味噌焼きなどと合わせてみてください。中華の魚介類のオイスターソース炒めなどとも相性が良いです。(2020年7月コメント)
カスタードクリームにほんのりシナモンのニュアンス、キャラメルの優しいアロマが複雑さを与えています。終始優しく滑らかで、クリーミーな口当たり。透明感があり、緻密かつ上品でしっとりと口中に染み渡る旨味が特徴的。クレームブリュレのような風味を長く余韻に持ちながらまとまりのある味わいのまま辛口に切れていきます。きめの細かいテクスチャーを持っている日本酒なので、野菜やキスの天ぷらの様に料理も繊細で旨味が閉じ込められたものや、筑前煮の様な軽くて穏やかな旨味のある煮物などと相性が良いです。フランス料理の白ワインバターソースとも相性が抜群です。(2020年7月コメント)
カスタードクリームにスパイシーでやや焦げたニュアンスを感じさせる複雑で強く豊かな香り。スムースな口当たりで、豊富な旨味にバランスの良い明確な酸味が味わいを引き延ばします。旨味、酸味と共にキャラメルの風味を伴った苦味が心地よく、そして長く余韻に残りながら辛口へと切れていきます。味わいの強さ、旨味と酸味のコントラストのある味わいには、モツのワイン煮込みや鳥のお酢煮など、ワインやお酢を使用した、酸味のある煮込みに少し温度をあげて提供するとよくマッチします。ベトナムやタイ料理のタマリンドを使用した料理とも相性が良いです。(2020年7月コメント)
蜂蜜、栗、アーモンドのニュアンス。甘みと旨味が広がり、丸みと凝縮感もあり、終始滑らかなテクスチャー。心地よい酸味も持ち合わせバランス良く、風味も長く続く。ボリューム感と甘やかさも持っているので、薄切りにした豚の生姜焼きの塩気やスパイシーな風味とバランスが取れます。凝縮感があるので、熱燗から常温で楽しめます。(2017年6月コメント)
トーストした穀物、キャラメライズされたナッツ、シナモンのニュアンス、柔らかく、甘やかな口当たりで終始丸みのあるテクスチャー。酸味とのバランスも良く、蜜の様なフレーヴァーを残しながら、オフドライで優しい味わい。バンバンジーの様な味噌の風味、。柔らかな食感とのお料理には、この熟成感や、この年の個性である柔らかさがよく合います。ぬる燗や常温が美味しいです。(2017年6月コメント)
キャラメルに烏龍茶や蜂蜜の様なニュアンス、熟成感と快活さが感じられるアロマ。滑らかな口当たりで、味わいは、骨格のしっかりした引き締まったバランスだが、同時に旨味が豊富で凝縮感があり、余韻に長く旨味と複雑なフレーヴァーが残る。ぬる燗や常温が美味しいです。肉味噌とごぼうの和え物の様に、少し歯ごたえのあるものと食すとより美味しいです。(2017年6月コメント)
キャラメルのニュアンスに椎茸のしっかりした風味。甘みは軽やかなオフドライ、旨味が豊富で広がりのある口当たりが特徴。複雑なパンデピスの様なフレーヴァーの余韻を強く残します。干し柿のバターサンドの様な料理とは、干し柿の熟成による旨味と複雑性が絶妙なハーモニーを生み、柔らかなテクスチャーもよく合います。熱燗から常温まで幅広く楽しめます。(2017年6月コメント)
ドライフラワーやナッツにほんのりと優しいキャラメルのアロマ。甘みと旨味のバランスが良いが、強さは控えめで、綺麗な酸味が複雑なフレーヴァーを余韻に誘う穏やかな味わい。 料理は、サヤエンドウの胡麻味噌和えの様に、脂質が軽い野菜のもので風味を熟成からくるキャラメルのニュアンスと合わせて楽しむ。ぬる燗や燗冷まし、常温が向いています。(2017年6月コメント)
マッシュルームや干し草、カンロ飴のアロマ。甘味が軽やかでオフドライ、旨味と酸味は程よい強さでバランス良く、優しく滑らかな口当たりが印象的。上品なキャラメルのニュアンスが余韻に残り、ほんのり苦味を持つドライな余韻。魚介のピーナッツバター和えなど、料理はあまり重くなく、香ばしい風味で合わせます。常温またはぬる燗にするとより甘みと風味が増します。(2017年6月コメント)